フタリとヒトリ



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私が彼に会えるときは
いつもあの娘が一緒で
私はふたりきりにすらなったことはないけど
哀しいのはそんなことじゃなくて
彼の隣に並べることを すっかり諦めてしまった自分


諦めてしまったと思いながら
どうして忘れてしまえないんだろう




こいしさに
絶えずまとわりつくまぼろし
いないはずのひとの声
在るはずのない温もり

確かなのはこの淋しさだけで
その声も 髪も肌もてのひらも
遠く 遠く

欲しがって
ただ欲しがるだけで

この想いは
恋に届かず孤悲しがる




食べ物の好みだとか
趣味は何でどんなことが得意だとか
彼についての情報なら
些細なものでも宝物を集めるように
知るたびに嬉しくて 得意になっていたけれど

そんなこと いくら詳しくなっても
彼の恋人になれなかったら
むなしくなるだけなんじゃないかって

さっきあらためて気がついて
少しの間だったけど
絶望的な気持ちになったよ




切実に思っていたことが
口にした途端に
陳腐になってしまうのは何故だろう

嘘のない気持ちのはずなのに
言葉にしたら まるで嘘っぽくなってしまったよ

でもどうしても
きみに言葉で伝えたかったんだ




気持ちに色が付いてたら良かった
一目見て、あのひとの気持ちがわかるように

ほんの些細なやりとりだけで
相手の考えてる事がわかるようになるまでには
何十年もかかりそうだし

そんなにおばあちゃんになってからじゃなくて
今 知りたいんだもの




誕生日だとか クリスマスだとか
世間一般のイベントを
プレゼントをあげたりもらったり
ふたりではしゃいでお祝いして
特別な過ごし方をする時よりも

ケンカして泣いたり怒ったり
そのあと仲直りのキスをして
大概そんなときに きみをホントに愛しいと思って
ばかみたいに幸せを感じるよ




もっと単純に今の気持ちを表現出来たら良いのに
言葉にするには難しすぎて
伝えたい事が伝わらないのではという不安。

日本語は、同じ読み方でも
漢字違いで様々な意味合いがあって
言語表現のなんと豊かな国であることかと
誇らしくもありますが
ロシア語で、「退屈」と「寂しい」が
同じ単語で表されると知ったとき
そのシンプルな的確さに感銘したのでした。

あまりに多すぎる情報は
時に物事をたいへん複雑にしてしまうものです。

伝えたいことは単純な、たったひとつのはずなのに
簡単な、たったひとつの言葉が
どうしても見つからない。


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